自転車事故でも自動車事故と同じように後遺症が残る可能性があります。
特に重い後遺症が残ると、これまでのような生活が難しくなるケースが多く、手厚い補償が必要になりやすいです。
ここでは、後遺症との違いや後遺障害の目的と一緒に、後遺障害等級第1級から第7級の比較的重い等級についてご紹介します。
後遺障害とは
自転車事故で負ったケガに対して必要な治療を受けますが、これ以上治療を続けても症状は今以上によくならないという状況が後遺障害です。
具体的には、交通事故による精神的な傷害やしびれが続くといった肉体的な症状です。
後遺症との違い
後に残る症状は「後遺症」といわれることがありますが、後遺症=後遺障害ではありません。
後遺障害は、後遺症のうち、これ以上よくならない症状と自転車事故の因果関係が医学的に認められて等級認定されたものです。
等級認定されると等級に応じた賠償金が支払われます。
後遺障害の目的
後遺障害には、問題の早期解決という目的があります。治療を続けても医学的に大幅な改善が見込めない症状もあります。
その場合、加害者側に療費や休業損害などをいつまでも負担させるのではなく、残った症状にあわせて逸失利益や後遺障害慰謝料を支払ってもらい、問題を解決しようということです。
過失利益とは、事故による障害によって失った収入などの利益です。
将来に渡って失う利益も含まれます。後遺障害によって今まで通り仕事ができなくなったケースや仕事自体ができなくなったケースなどが請求の対象となります。
後遺障害慰謝料は、後遺障害に対する慰謝料です。後遺障害と認定されるまでのケガの治療費や入院費といった障害慰謝料とは別に支払ってもらうことができます。
後遺障害等級とは
後遺障害等級は、ケガの度合いでランク付けされた分類表のようなものです。
残った症状は一人ひとり違いますが、個別に損害を算出することが難しいため、公平に処理できるよう後遺障害を14つの等級に分けています。
数字が低いほど等級が高く、支払われる賠償額も高額になります。
自転車事故では自賠法の後遺障害の内容が適用
自転車事故には、自動車事故で適用される自賠責保険のような制度がありません。
しかし、自転車事故でも後遺症が残るケースが少なくないため、自動車損害賠償保障法の後遺障害の内容や労働能力損失率が参考に、症状に応じた等級が認められ、加害者に賠償請求できるのが一般的です。
等級は症状の度合いと部位で分類される
後遺障害は、障害の重さと障害を負った部位で分類されています。第1級の場合、障害部位は全部で6つあります。
- 1号 両眼が失明したもの
- 2号 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
- 3号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
- 4号 両上肢の用を全廃したもの
- 5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
- 6号 両下肢の用を全廃したもの
参考文献:国土交通省『後遺障害等級表』
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/jibai/payment_pop.html
自転車事故により両眼が失明してしまった場合は「後遺障害第1級1号」、両方の腕は失っていないが全く動かなくなったという場合は「後遺障害第1級4号」というように認定されるということです。
等級によって慰謝料の相場が異なる
認められた等級によって受け取れる慰謝料の金額が異なりますが、後遺障害等級第7級以上の場合、1,000円以上の慰謝料を支払ってもらえるケースが多いです。
- 第1級:2,800万円
- 第2級:2,370万円
- 第3級:1,990万円
- 第4級:1,670万円
- 第5級:1,400万円
- 第6級:1,180万円
- 第7級:1,000万円
投球が1つ違うだけで慰謝料の金額が大きく違ってくるため、適正な判断がとても重要になります。
後遺障害第1級から第7級は比較的重度な障害
後遺障害等級は、第1級から第14級まであります。その中でも特に重いとされているのが第1級から第3級です。
等級別の労働能力損失率
自賠責保険の後遺障害等級表では、障害による労働能力損失率も明記されています。
- 第1級:100%
- 第2級:100%
- 第3級:100%
- 第4級:92%
- 第5級:79%
- 第6級:67%
- 第7級:56%
第1級から第3級は、労働能力損失率が100%とみなされます。
第7級でも労働能力損失率は56% とされており、今後の生活に大きく関与することから、第1級から第7級は比較的重篤な症状の場合に認定されます。
外貌の傷跡も重い障害として第7級に該当する
事故によって傷跡が残るケースも多いです。
普段露出している腕や脚以外の部位(外貌)、つまり顔や首などに醜い傷跡が残ってしまった場合、後遺障害第7級12号に認定される可能性が高いです。
もともと第7級12号は女性の外貌に醜い傷跡が残った場合のみ適用されていました。
しかし、外貌に醜い傷跡が残って傷つくのは男性も同じということから、現在では男女平等に重い障害のひとつとして認められるようになっています。
万が一のために後遺障害等級について知っておこう
後遺障害等級の第1級から第7級は、仕事や生活に大きな影響を与えやすい比較的重い等級です。
判断次第で等級が大きく変わってきます。等級が変わると、支払ってもらえる補償額も大きく違ってくるため、万が一のためにも後遺障害等級について理解を深め、正しい知識を身につけておきましょう。