自転車保険を義務化や努力義務としている自治体が増えてきていますが、一般的には任意の保険のため、未加入の方も多いです。
しかし、自転車も法律上は車両で、対人や対物の際に重大な過失をおかす可能性があるため、自転車保険に入っておいたほうがよいといわれています。
特にどのような方におすすめなのか、自転車の必要性とともにご紹介します。
自転車保険の必要性
自転車に保険は必要ないと考える人は少なくありません。
しかし、道路交通法の改正や自転車運転者やその家族に高額な損害賠償を命じる裁判の例が増加しており、自転車を取り巻く環境が大きく変わってきています。
自転車保険未加入者の割合
警視庁の調べによると自転車保険や自転車保険に似た内容の個人賠償責任保険に加入している割合は約6割で、未加入の割合がまだまだ多いのが実状です。
自動車や原動機付自転車(原付バイク)を運転する場合、すべての運転者に対して自動車損害賠償責任保険(通称、自賠責保険)という損害保険への加入が義務付けられています。
ところが、自転車の場合、法律上は車両になりますが、一般的には保険への加入が義務付けされておらず、自転車を利用する方の任意となっているため、未加入者が多いと考えられています。
自転車事故の現状
警視庁の発表によると、平成23年中に起こった自転車関連の事故は約14.4万件(20.8%)でした。
しかし、事故の数は年々減少傾向 にあり、平成28年には約9万件(18.2%)にまで減少しています。
万が一のためにも備えは必要
自転車関連の事故が減少しているとはいえ、全国で年間約9万件もの事故が発生しているのは事実です。
いつ自分の身に起こるかわからないため、万が一の備えがあったほうが安心です。
特に、相手に重大なケガなどを負わせてしまった自転車事故では、自転車運転者またはその家族に高額の損害賠償を求めるケースが増えています。
気軽に誰でも乗れる反面、事故などを引き起こしたときのリスクが大きいため、備えは必要といえるでしょう。
自転車保険へ加入したほうがよい人
自転車に全く乗らないという場合、加入する必要はないでしょう。しかし、たまにでも自転車に乗る機会があるのであれば、自転車保険へ加入しておくのが無難です。
特に、次に当てはまる方で自転車保険未加入の方は、前向きに検討してみましょう。
個人賠償責任保険に加入していない人
個人賠償責任保険は、生活の中で他人にケガをさせたり、自分の所有物ではないものを壊したりして、法律上の賠償責任を負った場合に対応できる保険です。
対象となるケースはいろいろあり、自転車で人にケガをさせた場合や止まっている車に自転車をぶつけて傷つけた場合などのトラブルも含まれます。
個人賠償責任保険は、付帯サービスとされているケースがほとんど です。そのため、自動車保険や火災保険、傷害保険などの保険に特約でつけるのが一般的です。
加入している保険を確認し、特約型個人賠償責任保険に入っていないようであれば、自転車保険の加入を検討しましょう。
自転車によく乗る子どもがいる家庭
警視庁の自転車事故分析資料(平成28年中)によると、自転車対歩行者の事故を起こした自転車運転者の年齢層は、16歳~19歳がもっとも多くなっています。
次いで15歳以下、20歳~29歳となっており、若年層が加害者となってしまうケースが多く 発生しています。
万が一、事故を起こして相手に重大なケガをさせてしまうと、相手方に高額な賠償を請求されことが多く、示談の交渉は難しいのが実状です。
損害賠償の支払い能力がない子どもの場合、その親が代わりに損害賠償を支払うことになりますが、賠償金が1億円近くになるケースもあるため、支払いが困難になることもしばしばです。
子どもに日ごろから交通ルールや自転車のマナーについて教えていくことが大切ですが、気をつけていても事故を起こしてしまうことがあります。
そのため、子どもがいる家庭は転ばぬ先の杖として、自転車保険へ加入しておくのがおすすめです。
通勤や通学で自転車を利用する人
よく自転車を利用する人ほど「頻繁に乗っているから大丈夫」と思いがちです。しかし、自転車事故は、自転車に乗る機会が多い人ほど、事故を起こす確率が高くなります。
]自転車事故が発生している時間帯でもっとも多いのは、午前8時~午前10時の時間帯です。
2番目に多いのが午前6時~午前8時で、この2つの時間帯の自転車事故が、発生件数のうちの半数近くを占めています。
3番目は午後6時~午後8時で、次いで午後4時~午後6時が多くなっています。
この自転車事故の発生時間帯を見ると、通勤や通学のタイミングに自転車事故が起こりやすいことがわかります。
したがって、通勤や通学で自転車を利用している方は、自転車保険へ加入しておいた方が安心でしょう。
自転車によく乗るなら自転車保険を!
自転車事故は減少傾向にありますが、自転車事故は確率の問題です。頻繁に自転車を利用する人ほど事故を起こす可能性が高く、いつ自分が不幸な事故を起こしてしまうかわかりません。
自転車の場合、保険に入っていなくても乗ることができます。しかし、自転車を取り巻く環境も変わってきています。
個人賠償責任保険に未加入の方や自転車に乗る子どもがいる家庭、通勤や通学に自転車を利用している人は、万が一に備えて自転車保険に加入しておくのがベストかもしれません。